天然店員は俺様王子



スルリと頭から麗桜の手が離れ、そのまま立ち去ろうとする麗桜の腕を咄嗟に掴んだ。


どこに行くの? そう言いたいのに、言葉がうまく紡げない。


俯くと、暫くして頭上から麗桜の声が降り注いだ。


「離せ瑠雨」


イヤだ。


「……瑠雨」


イヤだ。


大きな手が、麗桜の腕を掴んでるあたしの手を退けた。


……イヤだ。



「お前に必要なのは、俺じゃねぇだろ」


ポツリと消えるような、麗桜の声。


……どうしてそんなこと言うの。


顔を上げた時にはもう麗桜は階段を降りていて、追い掛けようにも足が動かなかった。


「…………っ」


涙が溢れて、止まらない。



「ルー……ダイジョブ?」


振り向くと、昴が眉を下げてあたしを見下ろしていて、その後ろでは西郡を殴る勢いの透を翔太が止めて、奈々とキョウが笑顔で西郡に話し掛けていた。