「……っこんなことしてどうなるか分かってるのか!!!」
その言葉に、麗桜が割った眼鏡を床に投げ捨てる。
――っもう殴らなくていい!!
麗桜の名前を呼んであたしが止めるより先に、薄茶色の髪が目の前に現れた。
「まあまあ。ふたりとも落ち着きましょうよ、ね? ほらほら離れて」
「……っ王良……」
「……チッ。邪魔すんじゃねぇよキョウ!」
麗桜と西郡の間に割って入ったのは、いつもと変わらない微笑みを携えたキョウだった。
麗桜は苛立ったように舌打ちをして、遠くに視線を移す。
……麗桜。
手が……手から、血が……。
床に捨てられた無残な西郡の眼鏡を見下ろすと、ジワッと目頭が熱くなった。
「西郡先生がご自分の職務を全うされたいお気持ちは分かりますけど、瑠雨にちょーっと構いすぎですかね。……明らかに他の生徒と扱いが違いすぎますよね?」
にこやかなキョウに言われ、西郡は押し黙っているようだった。
でもあたしはそれどころじゃなくて、落ちそうになる涙を必死に堪えていた。



