天然店員は俺様王子



あぁ……緊張した。


1階の裏庭にある総合ゴミ捨て場まで来て、ゴミ箱を逆さまにしながら溜め息をついた。


あたし、キョウの前だと変に緊張しすぎなんだよなぁ……。



この前、麗桜の手伝いを中断して透たちと遊んだ時、初めてキョウの家に行ってからというもの、緊張により拍車がかかった気がする。


キョウの家は目を疑うほど大きくて、まるで旅館みたいで、暫くあたしは固まっていた。


キョウはいわゆる御曹司ってやつで、驚いたのと同時に納得したりもしたんだ。


なんていうか……キョウは、別世界の人。



「……なんだかなぁ……」


ゴミ箱の中身が空になったのを確認して、再びゴミ箱を引きずりながら家庭科室に向かった。



キョウはいつも笑っていて、皆に優しくて、そこにいるだけで空気が和む。そんなキョウを、素敵だと思った。


あたしは一匹狼で、笑いもしなければ優しくもなくて、尚且つ毒舌で暴力的だから。


そんなあたしを受け入れてくれたキョウに、嬉しさと幸せを感じたのは確かで。



キョウは、王子様みたいだと思った。人として好きだと思った。