「イテェよ!!!」
若干涙目で睨むと、麗桜は掴んだ手首を離した。
「……ワザとだっつーの」
「最低だな!」
あたしの腕をもぎ取る気だったんですか!? アンタ最近本当に変ですよ!?
痛む肩をさすって睨み上げると、麗桜が突然あたしの頭をグシャグシャと撫でた。
微かにドキッとした胸に気付いて、動けなくなる。
「じゃーな。放課後来いよ」
あたしを横目で見ながら立ち去る麗桜の背中を見つめて、イラッとする。
あたしを引き止めた意味は!?
「謎……」
やっぱり麗桜なんて、嫌いだ。
……嫌いだけど、最近は嫌いじゃない。なんて、ついにあたしまで頭がおかしくなったと思う。
嫌いだけど、ふと見せる優しさとか、自然な笑顔は、嫌いじゃない……。それに……。
「瑠雨ーっ?」
先に歩いて待っていた透があたしを呼び、止まっていた足を動かした。



