天然店員は俺様王子



「おら! 早く仕事に戻れ!!!」

「いやー!! 王子ーー!! せめて写真撮らせてぇぇええ!!!」


隼人に引きずられながら泣き喚くオッサン、あれで本当に30歳か。


300歳の妖怪の間違いだろ。



「……コ……コワかた」

「毎度のことながら悪いね」


胸を押さえて安心したように大きく溜め息をつく昴に苦笑いすると、「ダイジョブ」と片言の返事が返ってきた。


……いくら参考対象でもさすがにその片言は真似出来ねぇわ。


この喋り方もモテる要因なんだか知らねーけど、透がバカみたいにニヤニヤしてる。



「……ごゆっくり」


軽く頭を下げて、持ち場に戻る。


客が途切れない-mia-は忙しい。無論、昴を観察する暇もないほど俺は業務に追われた。