最近、いつも思う。アンタ、そんなに優しく笑う奴だった? 絶対、どっかおかしくなったと思う。


それからやっぱり思うことは、麗桜って実は優しいってこと。


俺様だし口悪いし冷酷だし鬼畜だし変態だけど、やっぱりどこか、優しい。


ものすごく遠回だけど、優しくしてくる。


「瑠雨?」


それに気付いたあたしは、最近どうすればいいのか分からなくなる。今も、あたしを見下ろしてる麗桜の瞳が優しくて、言葉に詰まる。


最近ずっと、こんな感じ。


「分かったからっ! 西郷に見つかったら逃げればいいんでしょっ」

「ぜひそうしてくれ。俺の為に」


嘘ばっか。
あたしが怒られないようにしつこく言ってることくらい、分かってんだから。


「……意味不明」

「は? 何だって?」


胸がギュッてなるあたしが、意味不明。


「別にっ! じゃーね!!!」


麗桜の顔を見ないまま立ち去ろうとすると、手首を掴まれて危うく肩が脱臼するかと思った。