「で、何か用?」
「お前ホント可愛くねー」
ギロッと睨むと、「ハイハイ」と視線を逸らされた。
「ブレザーは?」
「はい?」
「ブレザー! 着てこいって言っただろーがボケッ」
なぜ最後の方が小声なんですかね。学校でも天然ぶってご苦労さまです。
「……ブレザーなら着てこなかったけど」
「おいふざけんなよ」
あたしはいつも指定ブレザーじゃない白いブレザーを着てるけど、今日は水色のワイシャツのみ。
ちょっと寒くて失敗したけど、我慢。
「指定ブレザー嫌いなんですー」
「着て来いっつっただろーがっ! 俺が西郷に怒られんだろっ」
ボソボソ話す麗桜にイラッとしながらも、怒られる麗桜なんて貴重すぎて、一度でいいから見てみたい。
そもそもあたし、指定ブレザーなんか持ってないから麗桜の言いつけ守れないんだよね。
「いいじゃん。白いブレザーは着てないんだし」
そう言うと、麗桜を溜め息をついてあたしの額を小突いた。
「まぁいいけど、西郷には見つかんなよ。めんどくせーから」
あ……まただ。



