「――……」

「ブァッカじゃないの!? どいて! 早くどけ変態!!!」


瑠雨は上半身を起こし、顔を俯けながら俺の鎖骨あたりを押し退ける。


だけどその力はあまりにも弱々しく、俯いて顔の見えない瑠雨の耳は真っ赤で。


淡い期待を、してしまった。



「瑠雨」


お互い至近距離で向き合ったままで、瑠雨は未だに俯いたままだけれど、俺は瑠雨のサイドの髪を掬う。


「こっち見ろ」

「……嫌」

「見ろって言ってんだろ」

「…………っ」


瑠雨はゆっくり顔を上げたが俺を見上げようとはせず、瞼を伏せていた。眉を寄せて、口を噤んで、頬がピンクに染めながら。



俺だって、バカじゃねぇ。


はっきりとは言えねぇけど……瑠雨はきっと、俺に揺れた。



「……おい」


瑠雨の頬に触れてやっと目が、合った。


そのまま引き寄せれば──……。