「とにかく癒せ」
「癒せって、どうやって」
「自分で考えろよ」
「……お疲れ」
「ナメてんのかテメェは!!!」
心がこもってねぇ!! つーか言葉なんかじゃ癒えねぇっつーの!
「えー……癒せとか言われても」
「何かあんだろーがっ」
顔を逸らしてブスッと不機嫌にしていると、瑠雨が椅子から立ち上がった音がした。
ふわりと、頭に何かの感触。
「――……」
驚いて、目だけ左に動かせば瑠雨が立っていた。
「おーつーかーれーさーまー」
気持ちのない完全に棒読みの台詞を言いながら、瑠雨は俺の頭を撫でた。
アホらしくなるほど、心音がうるさい。
……この、バカ……。
──ガタンッ!!と立ち上がった際に倒れてしまった椅子の音が準備室いっぱいに届く。
「…………」
木製の大きい机に押し倒した瑠雨を、俺はどうしようというのか。
押し倒す際に掴んだ瑠雨の右手に力を込めると、グレーの瞳がかすかに揺れた。



