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「千草先生、ご機嫌ですねぇ」
次の日、職員室であと残り5日間の実習予定を確認していると、学年主任に話し掛けられた。
「そうっスか?」
「えぇ、何か雰囲気が」
「あー……ははっ。まぁ悩みがなくなったって言うか、そんな感じですね」
「何か悩みでも? ……確か千草先生は2年3組でしたね」
縁なしの楕円の眼鏡がキラリと光る、学年主任の西郡(にしごおり)。
生活指導の担当もしている、何かと小うるさい奴。
「あのクラスは問題児が多くて大変でしょう」
「あぁ……と、向井とかですか? 可愛いもんだと思いますけどね」
透が問題児なのは知ってるけど、あれくらい大したことじゃねぇだろ。
「向井はまだマシですが、村上がねぇ……困ったもんですよ」
村上って……瑠雨が?



