オッサンを殴る気なんて、いや少しはあるけど、本気で疲れていたのに走れるほどには俺の気持ちは軽くなっていた。
分かってたんだ。
キョウみたいに振る舞ってみたって、意味なんてねぇこと。
自分を偽ったって、何も幸せになれねぇこと。
分かってても、俺は微かに小さい不安を感じていた。
でも、オッサンと隼人の言う通りだ。
俺はこのままでいい。
ありのままで、素の自分を隠さず生きてるオッサンと隼人に言われて、安心した。
気色悪いけど、うっとうしいけど、人望もあるふたりに言われたから、尚更。
キョウがなんだ。瑠雨の好きな奴だから、なんだっつーんだよ。
関係ねぇだろ。
俺は俺のままで、瑠雨に好きになってもらう。



