天然店員は俺様王子



ゼー…ハー…と、やっとの思いでオッサンを投げ飛ばした俺は肩で息をする。


「っのオッサンが!!! 疲れてんのに更に疲れさせんじゃねぇよっ」


ああダメだ。俺はオッサンと絡むと魂が吸い取られるんだった。帰ろう今すぐに。


再びスタッフルームに歩み出すと、オッサンに引き止められた。


「ホントにあの小娘が好きなの?」

「ウルウルすんな変態」


目を潤ませるオッサンを冷めた目で見ると、「チッ!」と盛大に舌打ちをされた。


殴っていい? 顔の原型なくなるまで殴っていい?


「ちぃ! やめろストップ!」


拳を握る俺を隼人が止め、オッサンは急に真面目な顔をする。


「ホントに好きなら何も言わないわよ。……レオが女に興味持つなんて、初めてだもの」

「んだよ急に」

「さっきキョウみたいに……とか言ってたわね」


どっから聞いてたんだこのオッサンは。


「レオはそのままでいいわ。キョウみたいに振る舞って、それで好きになってもらえて嬉しいの?」

「…………」

「レオ自身でぶつからなくてどうするのよ。そんなの、幸せじゃないわ」