天然店員は俺様王子



――――……


「苦戦してんなぁ?」

「うっせー」


実習生で忙しいと言えど金は稼ぎたい俺は、相変わらず-mia-でバイトをして閉店作業中。


今日も無駄に笑顔を振りまいたから、もう笑える気がしねぇ。


「ちぃが感傷的とか超ウケんですけどーっ!! イッタイィィィイ!!!」

「は? 何? は?」

「イタタタタタタ!!! 千切れる! 千切れる!」


脇腹を思いっ切りつねると、苦痛に顔を歪まして泣き叫ぶ隼人。


どんな癒し系アイテムにも劣らないこの顔を見ると、俺の気持ちはそれそれはとても安らぐ。



「励ましてやろうとしたのに!!!」


制服のワイシャツを捲り、赤くなった脇腹をさすりながら隼人は半泣き。


「お前がいるだけで俺は励まされるよ」

「ちぃ……いやいや騙されねぇから! どうせストレス解消道具としてだろ!!!」

「まあそうなるな」

「はー……。あのさぁ、別にキョウみたいになろうとしなくて良くね?」


ワイシャツの裾をズボンに押し込む隼人を見ながら、眉を寄せる。


本来の俺ばっかじゃ、嫌われるんだっつーの。