天然店員は俺様王子




「キョウの家で遊ぶんだよーっ!」



はいちょっと待てーい。

キョウの家だと?


阻止だろ。コレ完全に阻止決定だろ。何が何でも妨害するしかなくね?


「ねーちぃ君ーっ!! いいでしょ!? 1週間ずーっと雑用させて、たまには遊びに行かせなきゃ可哀想だとは思わないの!?」

「思わないかなぁ~」


バッサリ笑顔で言うと、透の口から魂が抜けていくようです。


「奈々ぁぁあ!! 奈々からも頼んでよ! 瑠雨がいなきゃヤダヤダヤダヤ……ッ」

「うるっさいわね。粉砕するわよ」


奈々は透の顔を片手で潰し、本気で頬骨を粉砕しようとしながら俺をチラリと見た。


やめろ黙れ。奈々が俺に何を言うのか予測不可能すぎて……。


「瑠雨はどうしたいのよ」


え。俺じゃなくて瑠雨に話し掛けるんですか。じゃあ俺をチラ見した意味は何ですか。


「来たいの? 来たくないの?」


奈々は腕を組んで、自分より少し身長が高い瑠雨を見つめている。


嫌な予感がした時にはもう、瑠雨が気まずそうに俺を見ていた。


「行きたい……かな」