天然店員は俺様王子



「みんな急にどうしたの?」


瑠雨が聞くと、透が昴に引っ付きながら思い出したように笑顔になる。


「久々にみんなで遊びに行こうよーって話してたの!!」


予想は付いていたが、実際聞くと俺の胸はモヤモヤし始めた。


「や、あたしはいいよ」

「何でぇ!? 瑠雨もう1週間も遊んでないじゃん!!!」


そりゃ俺が瑠雨の放課後を縛っていましたからね。


瑠雨は困ったように俺に目配せをしてきたけれど、ガン無視。


それに気付かないほど、透もバカじゃなかったけど。


「ちぃ君! 今日1日くらい、いいでしょ? ね? ね?」

「じゃあ透が手伝ってくれる?」


ニコリと笑えば、「うっ」と小さく呻く透。だけどすぐ必死に首を伸ばし俺を見上げると、両拳を握って戦闘態勢に入る。


「瑠雨がいなきゃ嫌なのっ! 遊ぶ意味がないっ!!!」


俺だってキョウがいる遊びに瑠雨を差し出すなんて、嫌ですけど?


「今日の遊び場所は豪華なのっ! 滅多に行けないから、スペシャルデーなの!」

「豪華……?」


ぽつりと零したのは瑠雨だった。その反応に透は瑠雨に向き合って、必死に伝えようと腕を振り回す。