「あーあ。ウゼーウゼー」
「何なのよアン……麗桜……」
「…………」
俺の名前を呼んでるんじゃない。
俺が、呼ばせてる。強制で。
「ハゲろキョウ」
「はあ!? 何てこと言ってんのよ!」
うっせーボケ。ムカつくんだよ。
キョウの名前出しただけで赤くなるお前も、放課後になると瑠雨にメールや電話をしてくるキョウも。
「ウゼ」
自分がこんなに嫉妬しやすいなんて、知らなかった。
「麗桜?」
視線を遠くにしていた俺は、名前を呼ばれて瑠雨の顔を見る。
「最近変じゃない?」
「俺のどこが変なんだよふざけんな」
「変だってば」
「お前に関係ねぇだろ」
大きく溜め息を付くと、バシッと頭を叩かれた。
「いってぇな!」
「ああそうですか! ふんっ!!」
瑠雨は俺の手からプリントを奪って背を向け、また整理を始める。
「……何怒ってんだよ」



