実習生として瑠雨の高校に来てから早1週間。相変わらず俺は放課後に瑠雨を呼び出しては雑用を押し付けていた。



「早くしろよ」

「!!」


立ちながらプリントの整理をしていた瑠雨の背後から耳元で囁くと、期待通りの反応。


バサバサッ!!と勢い良くプリントを落とした瑠雨に口の端が上がる。


「アンタねぇ!」と勢い良く振り向いた瑠雨を睨むと、グッと息を潜め睨み返してきた。



「~っ麗桜! いい加減にしてくれる!?」


俺の言うことに絶対服従の瑠雨にまず言い付けたのが、俺を名前で呼ぶこと。


これでやっと変態だのクソ野郎だのと言われなくて済むって話だよ。


「何のことか分かりませんが?」


鼻で笑ってやると、瑠雨はワナワナと体を震わせる。


「耳元で喋んなって何回言ったら分かるわけ!?」

「何で? 体がゾクッとでもすんの?」


ニヤニヤ笑うたびにカッと赤くなる瑠雨を見たのは何回目なのか。


「気持ち悪いんだってば!」


瑠雨は俺の視線から逃れるようにしゃがんで、床に散らばったプリントを荒々しくかき集める。


おもしれぇー。とかそんな場合じゃなくて、俺虐めすぎ? いやだって、面白いから仕方ねぇじゃん。