「ふ~ん? 何? 俺の声そんなにイイんだ?」
「気持ち悪いって言ったのが聞こえなかったのかよ!」
ふーん。へぇ。俺の声がやたら耳に響くってよ。これってアレじゃね? 瑠雨を弄るレパートリーが増えちゃった感じ?
やべ、口緩む。
「ニヤニヤすんな変態!」
「うるせぇよ」
「――っ何!?」
瑠雨のカラフルな頭をグシャグシャと撫でてから手を離すと、何とも言い難い瞳で睨まれる。
「……じゃーな。放課後サボんなよ」
「絶対言わないでよ!?」
「ハイハイ分かりましたー」
後ろから叫ぶ瑠雨に軽く手を上げて、校舎に戻った。
「はー……」
職員室に向かいながらダテ眼鏡を取り外す。慣れない眼鏡で目と目の間が疲れるったらない。
キョウには宣戦布告受けられちまったし……瑠雨も瑠雨で、キョウに気持ち言うなって必死だしよ。
やべ、ちょっと俺切なくね? 若干可哀想じゃね? 片思いって初なんですけど。
まぁ……瑠雨は言うこと聞いてくれるらしいから、100%不利ではなさそうだよな。
つーか、キョウや瑠雨がどうとか、これからのことを悩む前に……。
「……末期だな俺」
フッと笑ってからダテ眼鏡を再び掛けて、職員室に入った。
瑠雨が可愛くて、堪らない。



