天然店員は俺様王子



サワサワと風が木の葉を揺らす音が聞こえ、キョウは同じように風にさらわれる髪を耳に掛ける。


「好きかって聞かれたら困りますけど、本当に可愛いとは思ってますよ? ……野良猫みたいで」


付け足したような最後の言葉に、俺はピクリと反応する。


「何だそれ。……その野良猫を、どうしたいわけ?」

「どうって……」


キョウは宙を見上げながら、思い付いたように笑顔になって俺を見た。


「飼い慣らしてみたいですよね、瑠雨みたいな子って」



はいキタよこれ。完全に俺と同じ思考。


つーかキョウが飼い慣らしたいとか言うと、若干のエロスを感じたのはなぜですかね?


コイツ、もしかして女慣れしてんじゃねぇの?


「瑠雨に手ぇ出したら殺す」


その言葉にキョウは目を丸くした。


また吹き出すのかと思ったら、口に拳をかざしてクスクスと笑うだけ。


「何笑ってんだよ」

「いえ、ほんとに好きなんだなぁと思って」

「ワリィかよ」

「全然」


……全然て、何だよ。


それは俺を応援してくれるって解釈していいんですかね。マジ有り難いんですけど。邪魔者いなくなった系。


今地味に心の中でガッツポーズしてますけど、何か?