「キョウってアレが素なわけ？ なんっか胡散臭いんだよな」
「素よ？ 常に笑顔で優しくて平和主義｣
俺の質問に平然と答える奈々に脱力する。
「そうじゃなくて、なんつーか、キョウって謎じゃねぇ？ 掴めねぇっつーか、不気味｣
「ああ……」
いや、ああじゃなくて。納得したならもっと言葉をよこせ！
俺のもどかしい気持ちを察したのか知らないけど、隼人が言葉を発した。
「キョウって秘密主義だもんな｣
「主義じゃないわよ。キョウは自分から自分のこと話さないだけで、聞かれれば答えるもの｣
……面倒な奴だな。
「それってさぁ、自分の気持ちも言わねぇってこと？」
「言わねぇよな？ キョウって基本的に遊び行く時も、どこでもいいって言うし｣
うわ……言いそう。優しい笑顔で、俺は(みんながいれば)どこでもいいよ、キラキラ～みたいな。
ウザッ！ 想像したら爽やかすぎてうぜぇ!!!
「キョウって腹立ったこととかねぇのか？｣
数えるくらいしか会話したことがねぇから、普段のキョウなんてほとんど知らないと言ってもいい。
「怒ってるところなんて見たことないわね。注意する時だって笑顔だもの｣
「でもよー。心の中ではどう思ってるか分かんなくね？｣
隼人が言った言葉に奈々は少し考えて、隼人も眉を寄せる。
