天然店員は俺様王子



俺は奈々を真っ直ぐ見て、奈々は髪の毛先を指にくるくると巻きながら微笑む。


「キョウには負けねぇ」


それだけ言うと奈々はニコリと笑って、「まあ、結果その答えよねぇ」なんて言いながら携帯を取り出した。


「プレゼントあげるわ」

「は?」

「前に助けてもらったお礼、してなかったでしょう?」


前って……ああ、透と昴の喧嘩で一役買った時のことか。


奈々は俺に携帯を差し出して、受け取れば瑠雨の名前がある電話帳が画面いっぱいに拡がっていた。


……瑠雨のアドレス、ゲット。



奈々からのお礼は携帯に保存され、俺はご機嫌そのもの。


「おいちぃ。アドレスゲットしたからって瑠雨のことパシり放題とか思うなよ」

「黙れヘタレ」

「そんなんだから嫌われ……イタタタタ!!!」


隣に座っていた隼人の足を思いっきり踏み潰していると、奈々が呆れたように声を出した。


「瑠雨ばかり気にしていたらダメだって、分かってるの?」

「……分かってるっつーの」


キョウだろ。


少なくとも、キョウは瑠雨を気に入ってるのは分かってる。