天然店員は俺様王子



「どうもこうも、瑠雨が欲しいだけだっつーの」


言ったあとで胸が熱くなる。


本当に好きなんだと実感してる最中に、奈々の顔が冷めた。


「不潔だわ」

「……」


いや、慣れた。
奈々の毒舌には慣れてっけど、ここでその発言は鬼だかんな!


「具体的にどうしたいのよ。はぁ……これだから単細胞は」

「ちょっと待て。俺のどこが単細胞だよ。つうか俺、奈々より年上だぞ」

「ふふっ。やぁねぇ。年上だからって威張る人、嫌いよ? 瑠雨は」

「…………」


誰だよ、奈々をこんな風に育てたのは。つぅか威張る人嫌いとか、さり気なくダメージ喰らわせんのはやめろ。


「……瑠雨のタイプって、」


言葉を濁した俺に、奈々は楽しそうに微笑んだ。


「優しくて、性格が大人で、よく笑って、俺様じゃなくて、命令なんてしてこない、キョウみたいな人よ」


最初からキョウって言えば良くね!?


地味にダメージ与え続けようとしてんのバレバレなんだよ!



……ダメだ。さすがの俺でも奈々だけは敵に回したくねぇ……。