天然店員は俺様王子



「てか何? キョウのこと悪く言わないでくれる!?」

「何ムキになってんの?」


好きな人を悪く言われるなんて許せなーい!ってか?


乙女ぶってんなよ。ムカつく。超腹立つんですけど。


「あとアンタさ、あたしに必要以上に話し掛けないで」

「――……は?」


瑠雨が小さく「うっ…」と呻いたことで、自分があからさまに怒った顔をしたのが分かった。


「雑用は逃げないから日常では話し掛けないで! 今日の昼間みたいにっ」


よっぽど俺の癪に障ったと思ったのか、ドアまで逃げてからハッキリと喋る瑠雨。


いや、その行動も癪に障るんですけど。ムカついてんのが分からねぇのかこのカラフル頭は。


「……何で」


一応理由を聞いてみると瑠雨は視線を逸らして、ボソッと言葉を発した。


「キョウに誤解されたくないんだっつーの……」


テメェの小声はいつも丸聞こえなんだよ。


つーかキョウ、キョウってうるせぇ。ずっと思ってたけど発音が“今日”と紛らわしいんだよ!



「……嫌だって言ったら?」

「アンタだって困るでしょ」

「はい? 何にだよ」


気怠く襟足をいじると、瑠雨は真面目な顔して口を開く。