瑠雨は意味が分からないって感じで眉を寄せて、買ってきたミルクティーを飲み始めた。
そのまま椅子の背もたれに腰掛けて、ブレザーのポケットから携帯を取り開く姿を黙って見つめる。
「…………」
色、白すぎ。長身のくせに細すぎだろ。顔もちっせーし……ちゃんと食ってんのか。
携帯をいじる指が色白でスラッとしていて、真っ赤なマニュキアが逆に艶っぽい。
伏せられた切れ長の二重。黒いアイラインから伸びる長くカールされた睫毛からグレーのカラコンが見え隠れする。
……って何観察してんだ。
瑠雨から目を逸らして、コピーされた250枚のプリントをクラスごとに分けようと手に持つ。
ただそれだけの動作をして、俺の視線は再び瑠雨に向かった。
……可愛いげのない女。
生意気で、口悪くて、暴力的で、初対面で俺の仮面を暴きやがった上に殴るし。
絶対に跪かせてやるとあの日誓ったのに、コイツは……。
「――!」
瑠雨が携帯から視線を外して俺に視線を移すまで1秒も掛からないはずなのに、時が乱れた気がした。
俺の瞳が瑠雨の動作をスローモーションで映したから。



