「マジでムカつく! アンタの雑用を2週間もやらなきゃいけないとか無理!」

「俺じゃなくて担任に言えば」


まあ、担任に雑用係欲しいかって聞かれて、今日遅刻した生徒とかイイっすねーって言ったの俺だけどな。


フッ……ご愁傷様。


「もう嫌……あたしの素敵放課後ライフを返せ」


瑠雨は俺の胸ぐらを離して、がっくりと肩を落とす。


……素敵放課後ライフ? 何メルヘンなこと言ってんの?


「キモイ」

「ウッザ! アンタの方がキモイわ!」

「つうかよ、仮にも先生に向かってアンタとか変態冷酷悪魔は有り得ねぇし」

「ああすいませんね。他に呼び方が分からなくて」

「千草麗桜っていう素敵な名前だって言ってんだろ。麗桜だよ、レーオ」

「名前で呼べと? 無理ですー。お綺麗なお名前すぎてあたしにはとても」



ハッ!と小馬鹿にしたように笑ってくれるこの女……ほんとどうしてくれよう。


「……呼ばねーと休み時間にも雑用押し付けっかんな」

「はあ!?」


嫌だろ? 嫌だよなぁ?


名前呼べばそれで済むんだから……って、まじ雑用って便利だなオイ。感動するわ。



ニヤニヤと笑うと、瑠雨は暫く葛藤して「呼べばいいんでしょ!」と吐き捨てるように言った。