天然店員は俺様王子



「ふふっ。まぁいいんじゃない? ……楽しみが増えるに越したことはないし、ね?」


ちょ、楽しみって何だ。

ていうかそれは応援してくれると取っていいんですか?


奈々は見るからにご機嫌になって、そんな奈々を見て透は「ヤバいよ瑠雨」と怯えていた。


何がヤバいのか、あたしには分かりません……。


はぁーと最近多い溜め息をついて、ふと窓の外を見ると雲ひとつない晴天。


真っ青な空が逆に気分を憂鬱にさせる。


「……ダリー」


あたしこれから2週間無事に生きられんの?


千草麗桜がいる限りあたしには良くないことが起こる気がしてきた。



「……サボるわ」

「えっ! じゃああたしもっ!!」

「透、次数学よ」

「うっ……」


数学担当の月島先生、通称つんちゃんは透の天敵だからね……。



落ち込む透を余所に財布と机の上に置いていた携帯だけ持った。昨日、千草麗桜の車を殴ったから、黒い塗装がちょっと剥げてる。


「透。鍵貸して」

「瑠雨だけズルーイ」


頬を膨らませながら鍵を差し出す透に「どーも」と口の端だけ上げた。