天然店員は俺様王子



「瑠雨がそんなに素直に従うなんて、めずらしいじゃない」

「それは! 放課後行かないと……っ色々マズいだけで……」


お仕置きとか、お仕置きとか、そんな明らかに変態くさいことをされるくらいなら、手伝ったほうがマシ。


「ふぅん? てっきり瑠雨はレオのことが好きなのかと思ったわ」

「違う! あたしが好きなのはキョ……ッ」


ハッとして口を覆うも、時すでに遅し。


「っえぇぇええ!? るっ瑠雨って、そうなの!? ぎゃーー!!!」

「お黙り透」

「だって! え!? 奈々は気付いてたの!?」


透は奈々を食い入るように見つめるけど、奈々はあたしをチラリと見てから口を開いた。


「まさか。そう……キョウが好きなのね」


……え、あれ? 奈々は絶対気付いてると思ってたのに……。


「凄いよ瑠雨! 奈々が気付かないなんて、初めて!」

「やあねえ。恋愛に関して激ニブな透と同類みたいに言わないでくれる? 不快だわ」

「な、奈々ちゃん……? そこまで、言う……?」


涙目になる透を無視して、あたしを見る奈々はめずらしく笑っていなかった。


「好きとかじゃないと思ってたけど、好きだったのね」


なんか、好きじゃないって言われてるみたいなんですけど……。


あたしがキョウを好きじゃ、変?


透も不思議に思ったのか首を傾げると、奈々は滲むようにその綺麗な顔に笑みを広げる。