現在8時35分。
只今廊下を爆走中。


朝の準備を念入りにしていたら集中しすぎて見事に家を出る時間が遅れた。


もう最っ悪! 朝一で透と奈々に報告しようと思ってたのに! タイミング逃すと言えなくなるから決意してたのに!!!


二段飛ばしで階段を駆け上がる。階段を上がってすぐ右が、あたしのクラス。


「寝坊しましたっ」


どうせ怒られることは確定だから、ガラッと潔く前のドアを開けた。


「また遅刻か村上……いい加減にしろよ~」


窓際で不機嫌そうに立つ担任の顔が見えて、クラスメートが一斉にあたしを見る。


──バシンッ!!!


「村上ぃぃいい!?」


開けたドアを勢いよく閉めたあたしは廊下を歩き、後ろのドアからもう一度教室に入る。


「何がしたいんだお前は!!!」


担任の怒鳴り声すらなんかもうダルい。クラスメートの視線もうっとうしい。


あたし、どっかおかしいのかも。ああ、きっと疲れてるんだ。


うん、そう。ついでに目も疲れてる。だから見間違いに決まってる。


「おはよう御座います。……村上さん?」


席に着く前に名前を呼ばれ、恐る恐る教壇へ視線を向けた。