天然店員は俺様王子



「はぁあああ!? 何であたしが!?」

「え? 違うの?」

「違うとかの前に有り得ない! むしろ大嫌いなのに……あたしがあんな俺様を好きになるわけがないから!!!」


ゾッとする! 考えただけでゾッとする!


あたしはキョウみたいに優しい男が好みで、あんな俺様を好きになるなんて未来永劫有り得ない!


「そうなの?」

「そうですよ!!!」

「喧嘩するほど仲良いって言うじゃん?」

「喧嘩じゃない! 生死をかけたバトルなの!!」

「ぶはっ! ふ……ごめん、じゃれてるようにしか見えなかったから」


じゃれてる!? アレのどこらへんが!? 超サバイバルだったよね!?


キョウだってあの無理やりされたキス見たんじゃ……。



「……キョウ」

「ん?」

「本当にじゃれてるようにしか見えなかった?」

「うん、……?」


それって、つまり、キョウはあたしが千草麗桜にキスされても、何も思わなかったってことだよね。


あたしはすごく嫌だったのに……って、キョウまで嫌がってくれるとか、怒ってくれるとか、思ってたわけじゃない、けど……。



「瑠雨?」

「え? あ、ごめん! 何でもないっ」

「ははっ! 謝らなくていいよ」


キョウの笑顔を見ながら思う。


何であたし、悲しくなってるんだろう……。


キョウに嫌がってほしかった? 怒ってほしかった? ……何で?