「何すっ……ぎゃーー!!! 服着ろっつーのぉぉお!!!」
「俺の着替えを盗み見してんじゃねぇよ変態」
「見たくて見たわけじゃねぇよ!」
早く帰りたいのに、あたしの存在を無視して黙々と着替える変態から視線を逸らすしかなかった。
ギュッと目を瞑って祈る。
神様お願いだからコイツの頭上に特大の雷を落として下さい。致死量に値するくらいのボルト数で落として今すぐに!
「瑠雨。行くぞ」
「は?」
目を開けて見上げると、制服から私服に着替えた千草麗桜の姿。
雷落ちてねーし……そのアシメヘアがチリッチリになることを望んでたんですけど。
天パに負けないくらい根元から縮れ毛になればいい。
「見とれてんじゃねぇよ」
「バカ言わないでくれる」
すかさず反抗すると「ハイハイ」とか、何であたしが負けた気分にならなきゃいけないわけ!!!
「いいから行くぞ」
「――だから! 触んな!」
多分スタッフルームであろう部屋から、あたしは千草麗桜に手首を掴まれたまま従業員用入り口から外に出る。
「ちょっと変態! いい加減離せ!!!」
必死に踵を地面に付けて声を張り上げると、千草麗桜は振り向く。
……極上に意地悪な笑顔を浮かべて。



