「お願いだから帰らないで! そして口滑らせたことはレオに言わないで! もしバレて嫌われたらアンタのせいだからその時は弁解して!!!」
注文多くね!?
ドアの前で立ち止まるあたしの鞄を必死に掴むオッサン。
奈々と同等、もしかしたら奈々以上に美人な人に瞳を潤まされて、仕方ないな……なんて気持ちになるはずもなく。
「……アホらし。あの変態には言わないから帰らせて」
「それじゃあ嫌われるって言ってるのよぉぉぉお!!」
「言っとくけどオッサン! アンタすでに嫌われてますから!!!」
「ひぃぃいい!!! 鬼ぃぃいい!!!」
──ゴンッ!!!
突然うしろのドアが開いて、後頭部に激痛が走る。
「うるっせぇな!!! 何騒いでん…………何だよ瑠雨か」
「テメェかこの変態野郎!!!」
千草麗桜が勢い良く開けたドアがあたしの後頭部に激突した模様。
ジンジン痛む後頭部をさすりながら千草麗桜を睨む。
「ドアは静かに開けて閉めましょうねー?」
「お前ドンマイだな」
っかー! 謝れよ! 床に頭つけて100万回謝りやがれ!!!
威嚇していると、千草麗桜はジロジロとあたしを上から下まで眺める。
「見てんじゃねぇ!」
「帰んの?」
「帰るに決まって――っ触んな!」
伸びてきた腕に慌てて手を引っ込めても、あっさりと手首を掴まれた。



