両手を叩いた俺は、サロンのポケットから小袋に入った様々なお菓子を取り出す。
それを女子高生ふたりに手渡すと、そのまま軽く顔を近付けて人差し指を自分の口元にかざした。
「他の人にはナイショね?」
悪戯に笑い首を傾げてみせると、女子高生2人は顔を真っ赤にして押し黙る。
完全に固まったことを確認してパッと離れた俺は、「では、ごゆっくり~」と満面の笑みで席を後にした。
ホールからキッチンの受け取り口まで歩く間、何度客が振り返ったか。
これはもう来月も1位確定だな。
「おい、ちぃ。お前餌付けしてんじゃねぇよ……!」
ホール全体を見渡せる位置で待機していた隼人の隣に立つと、コソコソと話しかけてくる。



