天然店員は俺様王子



「なんやねん。瑠雨の皿に何かあるん?」

「いいえ何も! 隼人さよなら! ハイ早く行って!!!」

「ぶはははっ!!! ハイハイ行きま、す……ぎゃはははっ!!!」


隼人は皿の中心に目を落としながら爆笑して去って行く。


……危ねぇー……。


隼人に皿を渡した時パスタが崩れて、“ラブ”としか見えてなかったのは不幸中の幸い。多分。


「なんやねん瑠雨! 気になるやんかぁ!!!」

「うっさい翔太!」

「何で俺が怒られなあかんねん!!!」

「やぁねぇ。もちろんうっとうしいからよね? 瑠雨」


砂になっていく翔太を気遣うことも奈々に反応することもないまま、あたしは目の前に座るキョウを気にしながらも、皿に文字を書いたであろう張本人を見る。


あの野郎……。


千草麗桜が丸い銀のトレーで顔を隠し、明らかに肩を震わせながらホールの奥で待機している。


「ちぃ君何してんの~?」とか女性客の猫なで声に「かくれんぼ~」とか甘い……ブッサイクな笑顔を向けてる場合じゃねぇんだよ!


「ちょっとごめん!」


奈々たちに一言告げて、席を立つ。


ドスドスと音が出るくらい荒々しく歩くあたしが向かう先はもちろん、千草麗桜ただひとり。


女性客と喋っていた千草麗桜は怒りに満ちた存在に気付き、同時にあたしは拳を握る。