天然店員は俺様王子



ある日透に「あたし口悪いし、すぐ手も出るけど」と告げたことがある。


そしたら、「瑠雨はもっと恐ろしい人がいるのを知らない!」と嘆かれた。


不思議に思っていると、「それは私のことかしら?」なんて黒いオーラを纏った奈々を初めて見て、悟った。


奈々は毒舌な腹黒い美少女で、透は思うままに行動するんだと。


このふたりなら、一緒にいても大丈夫かもしれないと。


それからあたしは透と奈々と一緒にいるようになった。




「つ、疲れた……っ」

「瑠雨に勝ったぁぁああ!!! ひゃっほうっ!」


売店まで全力疾走のち、疲労感たっぷりなあたし。


ひ……久々に走った……つーか透、足速すぎ。飲み物ひとつでそんなに本気になれるなんて、子供か。


「何飲むわけ……」


息切れするあたしとは打って変わって、疲れのひとかけらも見せない透は自販機を指差す。


「苺オレ!」

「奈々が来てからな。財布持ってない」

「うんっ! 席取ってよー」


透のあとに続いて、少し緊張しながら学食に入る。


入るのは初めてじゃないけど、利用するのは初めてだったり……。


「みんな早く来ないかなぁ~」


6人分の席を取り、透はテーブルに顎を乗せる。ふとそのままあたしを見上げた透はニカッと笑った。