「お待たせ」
「今日も絶好調だなー」
「なにが絶好調だ。あ、俺今日帰りに渚に頼まれてたもん取りに行くんだけど、お前先帰る?」
「お前ほんっと、渚ちゃんには弱いよなあー。いいよ、俺も今日暇だし」
渚が取り寄せしてもらっていたもんがあるらしい。
バイトだからいけないとか、バカかあいつか。まあ、代わりに金もらったからいいけど。
「最近ほんっと告白多いな」
「みんな浮かれてんだろ。バカだよバカ」
「美咲ちゃんも今日は告白してきたあいつ、神谷とデートだってよ。誕生日デート」
「どうでもいいっつの」
美咲が告白されてから、毎日のように俺に報告してきやがって。
しかも相手が神谷とか。騙されてんじゃねえの? そもそも美咲に惚れたっていう時点でうそ臭くて仕方ねえ。
まあ、どうでもいいけど。
あんな男とデートとか。また浮かれてんだろあのバカ女も。
なーにが誕生日だ。知るか。
俺の誕生日、なにしに来たのかしらねえけど、泣いて帰ってから、それきりだ。ろくに顔も合してねえし、ケンカですらしてねえ。
あんな意味のわかんねー女、どうでもいいし、その神谷ってやつがどんな男かもよく知らねえし。
「気になる?」
「……なるわけねーだろ、バカか」
明宏の言葉に呆れながら返事をして、渚に言われた店に向かった。