「美咲も、学校に行ったらまた友達もたくさん出来るさ。巽くんともまあ、落ち着いたら挨拶でもしてみればいい」
そう、かもしれないけど。
「このまま学校始まるまでそんな気分で過ごしたら面白く無いだろ? 学校まであと一週間。そんな気分で行ったら友達できないぞー」
「……わかった」
お父さんの言葉にしぶしぶながら頷くと、お母さんもお父さんもほっとしたかのように笑う。
隆太はまだ不機嫌だったけれど、具の多いピザをあげたらすぐに笑顔になった。
こんなふうに、隣のあいつもすぐに忘れる性格かもしれない。
そう思うとちょっとだけ気が楽になった。
男に間違われたのは気に入らないけど……明日になったらちょっとは変わっているかもしれない。
仲よくなれるかはわかんないけど。
ご飯を食べたら自分の部屋を片付けよう。
お気に入りの部屋にしようってずっと思ってた。新しい、私だけの部屋。
とびきりキレイに片付けよう。
そしたら……気分も少しは軽くなる気がするし。
もう少ししたら新しい学校も始まる。
お父さんの言うように、気の合う友達が出来るかもしれない。ひとりきりで行くのはまだ緊張するけど、きっと友達ができる。
あんな男の子のことは忘れて楽しいことだけを考えたらいいんだ。
いや、もしかしたら……話せば仲よくなれるかも……。
今日はあんな感じになってしまったけれど……もしかして明日見かけたら、謝ってきてくれたりして。
まあ、謝らなくても、挨拶できたら。そしたら仲よくできるかもしれない。
あんまりイメージわかないけどさ。