「澤田さん、俺のこと知らないと思うから、取り敢えず、友達からでも……どうかな」


友達、か……。
確かに、お互いよく知らないし、友達からっていうのはいいかもしれない。

告白された人を友達だと思って接することができるかは、経験がないからわからないけど、知らないまま断るよりも、いいよね、きっと。


「えと、じゃあ……友達から……」


そう返事をすると大輔くんは、にこっと笑って私の手を取る。


「ありがとう! よろしく!」


爽やかだ。
巽とは似ても似つかないくらい爽やかだし、悠斗くんともまた違う。
クラスメイトの男子とは話すけど、こんなふうに告白されたことがないからなのか……なんだか、変な感じ。

嬉しいような、恥ずかしいような、落ち着かないような……。


「やったじゃない! 付き合うの?」


教室に戻ると、由美子が駆け寄ってきて声をあげた。

「いや、とりあえずお友達から」

「あ、やっぱり?」

「やっぱりってなによー。だってよく知らないしさあ……」


私がそう返事をすると、「まあ確かにね」と由美子が頷く。

恋はしたい。彼氏だって欲しい。だけどだれでもいいっていいわけじゃない。
仲よくなったら……好きになったりするのかなあ。


「でも最近告白ブームだよなあ」


いつの間にか背後にいた明宏くんがぼそっと呟いく。
気配を消して近づかないでいただきたい。気が付くと最近いつもこの教室にいるんだから。