由美子は私の選んだ女子校に決めているらしい。
ウワサによると、カトリック系の女子校で、英語に力を入れているとかなんとか。英語が得意な由美子は、迷わずここに決めていて、明宏くんは近くの公立にいくらしい。

彼氏がいる上に近くの公立だったらいいけど……。

私の場合、女子校とか行ったらマジで出会いないような気がして仕方ないんだけど……!

由美子と一緒の高校っていうのはいいんだけど。
このままだれとも付き合えなかったから辛い! 私だって彼氏くらい欲しい!

かといって、もうひとつの明宏くんが行くという公立には……巽も第一希望なんだとか。


あいつがいなければ公立にしていたかもしれない。
こんなにも巽に振り回されているのかと思うと、本当にばかみたいなんだけど。

どっちにしても近くの高校だ。

他の高校を選ぶにしても、偏差値が低いところは両親が許してくれないし、かといって高いところに行くほどの学力もない。

どうしようか。
決めるにも決められない。やりたいこともなにもない。あえて言うならキラキラ輝く高校生活を送りたいだけなんだもの。


「いいじゃん女子校で。迷ってるなら一緒の高校行こうよー」

「彼氏できなかったら嫌だあ」

「公立行ったってできないもんはできないわよ」


ぐ……そのとうりだけど。
あーもう悩んでたら余計にわかんなくなってきちゃう。

もういっそのことくじ引きで決めようかな。


「美咲ー」


由美子にうだうだと悩みを相談していると、クラスメイトの女の子が私を呼んだ。
振り返ると、「呼んでるよ」と入り口に立っている男の子を指さす。

……見覚えのない男の子だけれど、なんだろう。

首を傾げながら近づくと、彼はぺこりと頭を下げた。