「お前みたいなブス、悠斗だって相手にする訳ねーだろ? ブスはちょっと優しくされると図に乗るんだから恥ずかしいね。先輩を見習ってちょっとはかわいらしくなれば? 無理だろうけど」

「あんたこそ、ちょっとは悠斗くんを見習えば? バカでチビで性格も最悪なんだから性格直したた方がいいじゃないの? いいとこなしよ、あんたみたいな男」

「うるせえ! おれは教えてやってるんだよ! てめえみてえなブスな女を好きになる奴なんかいねーんだから変に調子のるんじゃねーよってな! 優しさだよ!」

「大きなお世話よ!」

「ブスだからわかんねーんだろお前は!」

「なんであんたはそういつも! 私にだけ……!」


あ、泣くかも。
ちょっと震える美咲の声に、たじろいだ。
いや、さすがに泣かせたことはなかったから……。いくらムカつく女だとはいえ泣かせるのは……。

そう思って言葉を詰まらせて、恐る恐る「み、美咲?」と呼びかける。


「わかってるわよ、あんたが私を嫌いなことくらい」

「……まあ、そうだけど。お前も同じだろ」


お前のほうが俺のこと嫌ってると思うんだけど。
お前がケンカする男って俺だけじゃねえか。いっつも俺にばっかり食って掛かってくるんだから。


「お、おい」


泣くな。さすがに泣かれると困る。
そう思って手を差し出すと、勢いよく手を叩かれた。


「大っ嫌いっ!」


顔を上げた美咲は全く泣いていなかった。
っていうかもう怒り狂ったような鋭い目つきで俺を睨んで、そのまま家の中にバタバタと入っていった。


な、なんなんだよ。

呆然と美咲の家のドアを見ていると、どんどん怒りがこみ上げてくる。
なんなんだ。勝手に怒って勝手なことばっかり言いやがって! ちょっと優しくしてみせれば言うだけ言って去っていくし。

意味がわからねえ!

なんだよ一体! 俺がなにしたってんだ!
マジでかわいくねえ女だな……!!