「ねーちゃんかわいいだって」

「うるさいなあ、もう!」

「ほら、もうケンカしないで。美咲も変じゃなかったでしょ? 普段からそういう格好してくれたらいいのにー。いつも男の子みたいな格好で男の子みたいに遊びまわっているんだから。隆太もいつも憎まれ口ばっかり……」


……いつもの小言に、隆太を顔を見合わせて小突きあった。
こうなると長いんだから。

でも、確かに自分で思うほど変じゃないのかも。
おばさんも私を女の子だって、そう言ってくれたもんね。


次に行ったのは正面のお家。
そこにはおばあさんと、若いお母さんが赤ちゃんを抱いて出てきて、その人達も私を“しっかりしたお姉さんね”と言ってくれた。


最後ね、と次にもう片方のお隣の家のチャイムをお母さんが押した。


出てきたのは、お母さんと同い年くらいのおばさん。ちょっと太ってるけどとてもやさしそうに笑ってくれた。


「初めまして」

「まー! かわいい! いくつ?」

「え、と9歳、です」

「うちの子と同い年ね! 小学4年生になるのよね? 下の子が一緒だわ。あ、ちょっと待っててね。渚(なぎさ)ー! 巽(たつみ)! ちょっと来てー!」


ニコニコしながら中の方に大声で名前を呼んだ。
どんな子だろうって緊張してきて、お母さんを見たけれど「よかったわね」と言われただけ。

同い年ってことは、一緒の学校に行くんだよねきっと。
仲よくなれるかな、なれるといいな……。

今は友達がひとりもいないから……学校が始まることにも改めて緊張してくる。


「なにー?」


俯いてどうしようと待っていると、女の子の声が聞こえてきて顔を上げる。

そこには、私よりも年上っぽいキレイな感じの女の子。
髪の毛も長くって、長い睫毛だった。