この前かった下着を持って、じっと見る。
……かわいい、下着。こんなの身につけたこともない。


「悪かったわね、少女趣味で」


なんであいつにあんなこと言われなくちゃいけないの。
なんで私が少女趣味だってあいつは知ってるのよ。なんでも知っているかのような顔してムカつく。

そしてそれをバカにするのも、ムカつく。

きゅっと唇を固く結んで鞄の中に押し込んだ。


「あとは……なんだっけ? タンクトップか」


念のため、もう一枚持って行こうとクローゼットを開けて探し出す。
奥に、ぐちゃぐちゃになった紙袋があるのに今更気づいて、探しているものそっちのけでそれを手にとった。

……中を見るのは、初めてかも。
いつも、この中に突っ込んでそのままだったから。

青色の紙袋に、黒色のビニール袋。その下には、包装紙に包まれたままの四角い箱。
他にも3つの箱も入っている。

多分、この3つの箱の中身はもう、ゴミでしかないだろう。
賞味期限はとっくに切れているに違いない。

食べ物だってことを知っているのに、なんで捨てられないままこんなところに大事に置いてしまっているのか……。

毎年毎年、悩みながらも買ってプレゼント包装までしてもらって。
結局渡せないまま、悔しさと悲しさでクローゼットに押し込んだ。

3年分の巽への誕生日プレゼントに、3年分のバレンタインのお菓子。


「中身、なんだっけ」


苦笑交じりに呟く。
悠斗くんと買いにいったDC。そして確か去年が帽子。今年は……バッシュを買った。
お菓子はきなこのガナッシュに、ドライフルーツに、マカロン。


忘れたくても忘れられない。