「こんなチビで性格の悪い男子、知らない」

「はあ!? お前もだろうが!」

「人の悪口言って笑うような男子、さいってい!」

「本当のこと言ってるだけだろー! 男女がスカートはいてキモいって! あ、でも今日はズボンじゃねえか。そのほうがお似合いだよ、お似合い」

「うるさいな! チビ! ガキ!」

「ブス! オカマ!」

「あー、ちょっ、お前ら待て待て待て!!」


突然言い合いを始める俺らに、せんせーが割って入ってくる。


「山森も、女の子にそんなこと言うもんじゃないだろ」

「こいつ女じゃねえもん」

「山森ー」


俺に注意するせんせーの後ろで、美咲が顔をぐちゃって潰して舌を思いっきり出す。

っずりー! だから女って嫌いだ。
すぐ人の影に隠れて! こいつはそれだけじゃなくて直接文句も言ってくるけど。

なにが女の子だ! ふざけんなこのブス!


「お前なんか大っ嫌いだよ!」

「私だって大っ嫌い!」


せんせーを挟んで大声でお互いに叫ぶと、せんせーが困ったように頭をぽりぽりとかいた。


ふん、と言いたげに顔を背けた美咲。すっげームカつく顔で。
負けじと俺も踵を返して教室の中に戻った。


「……すっげー」

「笑いことじゃねえよ! あのブサ女!」



マジで、最悪だ!
同じクラスじゃなかったからマシだけど。これから毎日あいつの顔を見るんだと思ったらマジで最悪。

どーせあいつも同じようなこと思ってるんだろーけど!




もう二度と! あいつと話なんてしねえ! 関わりたくもねえ! 絶対関わんねえ!