まあ、悪いやつじゃないっていうのもわかるし。
めんどくせえところはあるけど、思ったことを全部口にするんだろう。結構楽でもある。
でもまあ、だからって、付き合うとかは考えらんねえ。
今は、だれかと付き合うとかはちょっとめんどくせえ。
それどころじゃねえし。
明宏とクラブに行く準備をしていると、大樹が「実はさ」と改まって話す。
「俺は今日告白する」
真面目な顔でそう告げた大樹に、イラッとした。
だれに、なんてバカなこと聞く気は俺も明宏もない。
「すればいいじゃねえか、いちいち報告しなくていいっつの。ついでに物好きだな」
俺の嫌そうな顔をして、大樹はため息をつく。
……なんだよ、その顔は。
「ま、俺にとっては好都合だけどね」
なんだそりゃ。
「お前もたいがい素直じゃないよなあ、まあ、そこまで言うなら、後から文句を言うなよ?」
勝手にすればいい。
頑張れば、と告げて、走って教室を出て行く大樹を見送る。
……告白、ね。
そもそもあいつ数回しか美咲にあってねえじゃん。そんなんでなんで好きになれるんだよ。
ずーっと隣にいるっていうのに俺は好きか嫌いかもわかんなくなってんのによ。
「俺はうまくいかないと思うけどねえ……」
隣で明宏がぼそっと、俺に聞こえるように言ってからにやりと笑った。
「どうでもいいって」
「俺が気になるだけだよ」
なんなんだよ、どいつもこいつも。
周りが勝手に色々動いて話して……俺に考えるスキも与えねえ。
だから、わかんねえままだから、なにを言われても俺は今まで通りにしか振る舞えねえじゃねえか。