閉園時間になって、遊園地を出てから電車に乗った。
晩御飯を食べて帰ろうかという話も出たけれど、そこまでおかんに伝えてないし、気がのらないこともあって、断って電車に乗り込む。

明宏と由美子も同じ電車で、沙知絵だけが別方向の電車に乗って行った。


「巽くんってさー、美咲のことどう思ってんの?」

「……なんだその質問」


由美子の質問に怪訝な顔をすると、わざとらしいため息を落とされる。


「沙知絵も、結構本気だと思うけど」

「……あーやっぱり? それはなんとなく感じてた」

「なんで美咲にだけ、冷たいの?」

「あいつがむかつくからだよ」



言葉を交わす度に度にお互いにイライラが募っていくのが口調からわかったのか、間に挟まれた明宏がおろおろと俺と由美子を交互に見る。


「あいつも俺のことを嫌いだしな」

「……巽くん、美咲と同じこと言ってる。相手が自分を嫌いだから、私も嫌いだって」

「へえ」


あいつが俺のことを嫌いなんだろ、まず。
話しかければいつもケンカ腰じゃねえか。人のこと、言えない気もするけど。


「お前さ、実は嫉妬してんじゃねえの?」

「はあ!? なんで俺が嫉妬なんてしなくちゃいけねえんだよ。あのブスに」

「別にブスじゃねえだろ、美咲ちゃんは」


どこをどうみたらそうなるのか教えて欲しいな。
いっつもしかめっ面じゃねえか。


「ひねくれた目で見てるからわかんねーんだよ。目は結構大きいし、明るいしいつも笑顔だし、化粧っけがないけど、可愛らしいと思うよ。かわいいっつーか、可愛らしいって感じかな」


どれも美咲と結びつかないんだけど。
目は確かに大きいほうがもしれないけど、それだけだろ。