「元々合コンなんて好きじゃねえんだよ。しらねえ女と話するのめんどくせえし。っていうかお前こそ合コンとか」
……なにバカなことしてんの? って言いかけて口を閉じた。
またケンカになりかねない。俺も多少は、な。いや、まあさっき追いかけたあとに『ブス』って口にしちゃったけども。
ほんとは、大樹の言っていた女が見つかったってときは見てみたいと思ったけど。
由美子の友達だって言うから美咲も絡んでいるだろうし……っていうのも行きたくなかった理由だ。
行きたくなかったっていうか……もしかしたら会うかもしれない、と思ったら、行かねえほうがいいんだろうなって。
俺は正直言うと、美咲のすること言うこと全部が癇に障る。
多分美咲も同じ気持ちなんじゃねえかなって思う。
嫌いってのもあるけど、美咲が俺を嫌いだってこともわかってるし。
俺にとって美咲は、嫌いというより、苦手だ。
なにを考えているのが全くわかんねえし、すぐ怒るし。一緒にいるとイライラしたり、どうしていいのかわかんなくなるし。
それ以上に。
こいつが。美咲が、俺を許さないだろうと、思っていたから。
2年前のあの日。俺が美咲にしたこと、言ったこと、そして美咲の泣き顔。俺がこんなにも覚えているくらいだ。美咲が忘れるはずがない。
気の迷いだとはいえ、泣かせたのは俺。
そう、思っていたんだ。
なのに、なんで今、こうして話をしてるんだろうな。
こいつは、……どう思っているんだろう。
さっき会ったときは、できるだけ話さないほうがいいんだろうなって思ったけど、やっぱり、行かない方がよかったんだろうな。
さっき泣いてたのは……やっぱり、俺のせいなんだろーか。
今日はなにもしてねえけど。
でも、美咲が人前で泣くってことが珍しいってことを、俺は知っている。