「思李」



不意に、なんだか今一番聞きたくない声を聞く。


顔を上げれば、すっかり食後のお茶も終えた鬼虎が不敵な笑みを浮かべている。



「あれではお前を娶った男は泣くぞ」



どっ……



「どういう意味よ、それはぁっ!!」



手元にあったお椀を思わず投げつける……そして避けられる。


……そして中にあったしじみの殻が見事に飛び散る。



「行儀が悪いな」


「あーあ、思李、ちゃんと掃除しなよ?」



ぬなっ……悪いのは私か!?


そうやって二人で私をせせら笑って立ち上がって、朝ご飯の片づけは全て私にさせようという戦法ですか!?



てゆうか鬼虎、お前は一体何をしたんだ!!



「俺は虎ともう少し話してるから、じゃあよろしく」



そして兄は何も思わないのですか、今の会話であっさり鬼虎と庭に消えるんですか。