冷たい輝きを放つ瞳も、いっつも若干寄ってる眉も、真っ直ぐ結ばれた口元も。


全てが柔らかく、温かいものへと変わってた。



本当に、安心した笑顔だった。



「虎、君は伊桜の国にいたんだよね」



やだ、妙に鼓動が速い。


今の話の流れ的には、そんな悠長な場面じゃないだろうに。



「ダイは知っておるのか、伊桜を、我が国を」



兄がそう言い始めたってことは、きっと初陣の話とか全部史実の人物と合ってるってことだ。



なら、私もいい加減否定している場合じゃないのかな。



「うん」



本当はどこかでまだ、この人が『自分が歴史上の継虎だと思い込んでる』だけじゃないかって思いたい気持ちもある。


だってタイムスリップなんてやっぱり映画や小説の中の話、現実的じゃない。



だけど。