「あー、虎ちょっと待った。うちの可愛い妹が固まってるから、その話はまた今度」



やっぱり……食事中にその話は止めて頂きたいです。


随分饒舌だと思っていたら、要はお兄さんの偉業を称える話で、それはいいけどご飯片手にするものではないと思います。



「情けない、これぐらいの話で食が喉を通らんとは、軟弱だな」


「そっ、そういう問題じゃ……!」


「いやいや、虎、今この国には戦はないんだよ」



反論しようとしたところで、兄の穏やかなひとことが私と虎の間を通り抜けて行った。



「……ない、とは」


「厳密に言えば違うんだけど。今ここでは武器を持って戦いに行かなきゃならないってことはないんだ」



あ……やばい。



「……そうか」



そんな顔で微笑むなんて、反則だ。



「では、一体ここはどこだ?」



一瞬だけだったけど、鬼虎は確かに笑ってた。