「せっかく気に入ったって言ってもらえたのにさぁ」



気に入ってもらってない。



「……お前、信じてないんだ?」


「へ?」



びっくりした、喋ってないのに通じた気がして、思わず兄の顔を見る。


兄は呆れた、といった顔で溜め息をついた。



「いや、だって」


「だって?」


「そう、言われたし?」


「誰に?」


「本人に」


「何を?」


「気に入ってなんかない、あれはダイの手前そう言っただけだって」



……って、何素直に言ってるんだ私は!?



ああ、もう何度この手のやり取りで兄に話を聞かれたことか。


いや、実際は私が会話に乗って喋ってるんだけど。