「もうちょっと笑ったら?」



チョコミントを四分の一制覇したところで、兄が私の頭を小突いた。


すくったアイスがスプーンの上から逃げる。



「お前さ、ずーっと不機嫌」



別に不機嫌じゃないです。



「お客さんを家に迎えて、その無愛想ぶりはよくないと思うけどな」



あの人に愛想振りまいてどうするんですか。



「てなわけで、そんな妹を心配するお兄ちゃんは、虎を思李の部屋に寝かせてみました」



そうですか、どうぞご勝手に……



「って、何考えてんのよ、この馬鹿兄貴っ!!」


 
呑気な顔で笑ってる場合じゃないでしょ!


何であの鬼が私の部屋で寝てんのよ!?


てか既に勝手に部屋にいること自体がイヤ――



「ってのはさすがに冗談だけど」


「だっ……もう……そんな冗談いらない……」